2008-01-01から1年間の記事一覧

孤独のなかにある個人こそ…

このところかかりきりのことのため、日記が書けなくて、 小説家は、ひとびとや、かれらの営みから身をひきはなしてしまっている。孤独のなかにある個人こそ、小説の生れる産屋なのだ。かれは、自己の最大の関心事についてさえも、範例となりうるような発言を…

2008年10月12日の夕方

3連休は結局某所でひたすら自習、という性に合わないワーカホリックぶりを発揮してしまい、合間にその某所の「パソコン体験コーナー」でネットをしたり、外周を散歩したりしていて、何度かこの日記を書こうと思って書くことも決めていたが結局書かなかった…

ごく当たり前の日常だけが、

ピロウズがラジオをやっているというのでサイトを見たら、ポッドキャストがあったので落としてiPodに入れてみた(ポッドキャストについて、この語法で合っているのかどうか知らない)。サイトによれば25分ある番組なのに、ポッドキャストでは9分ほどしかない…

偶然、世界の奏でる音楽に。

抜き書き。 確かに、いま私の目が見ている物や風景は私以外の何者かが見ているわけではない。それこそが、私と世界が触れ合う根拠であり、私がこの世界に生きている証拠であると、強く感じる瞬間もたびたびあることもまた確かではあるのだが、それは本当にそ…

覚え書き/絶望が幸福である稀有な体験

<「何か」について考えることと、「何か」を作ることはほとんど同じことだけれど、違う。しかし違うということを強調するより、「ほとんど同じ」ということのほうが重要だ。> <何をするにしてもそれをしている時間のなかにしかそれはないのだから、その人…

「無邪気だった季節をちょっと引っぱり出してみたんだ」

髪も切ったことだし、ここ最近ちょっと、生まじめな内容が続いてしまったので、息抜きっぽい感じで、できるだけ。 音楽に関してぼくは好きというだけで「深める」ということをしたことがなくて楽器も何ひとつ「触れ」ないし、コードとかもよくわからない。と…

日記による自己批評文として

このブログというか日記を断続的に書き始めて約1年あまり、ここ最近ようやく「感じ」がつかめてきたと思っていて、現実の一応の「写し」である日記から少しだけフィクションに振ること、あるいはできるだけストレートな反応(コメントなど)がしにくい書き方…

親愛なる「小鳥」のS氏と「コンセント」のSさんへの私信――あるいは、雲の上まで

「これは1ディーム硬貨だ。 パンなら一斤、油なら一本分の価値がある……。 だが、ゴゼの追いはぎはこれひとつのために人を殺す」 何度か書き直してこんな書き出しもどうかと思うけど、これは僕がもっとも好きな映画のひとつであるアニメーション『王立宇宙軍…

(うんざりする)日常の構成美

前日から2日間つづけて某市の文化施設のようなところに自習をするために来ていて(しかもほとんど同じ席だ)、たった2日の繰り返しだけれど週末の2日つづけばじゅうぶんで、「これがぼくの日常だったろうか」という錯覚を起こしそうになる。 朝の10時か11時…

世界のディテール、希望の感じ(Long Version)

「世間にあるほとんどのブログは、すぐに読まれるために書かれているけれど、彼の日記は、最初のひとりがいつ現れるかわからない、という状態で書き続けられていたんですよ」 その年の夏に行われた公開対談で作家は言った。それだけではっとしたのだけど、 …

世界のディテール、希望の感じ

「ほとんどのブログはすぐに読まれるために書かれるけれど、彼の日記は、最初の読者がいつ現れるかわからないまま、いつまでも現われないかもしれないという状態で書かれていたんです」 その年の夏に行われた公開対談で、作家は言った。 「それで、彼にその…

うたかたの日々

土曜、日曜、そして今日。ビッグ・イベント「‘08おつかれサマー」&キャンプ&キャンプな3日間、これを書いている今も、音楽、カレーの匂い、ケチャップの甘さ、おしゃべり、川のせせらぎ、焼きうどんの香り、照りつける太陽、テントのなかで背中に感じる河…

はじめて考えるときのように

その日のBGMは帰ってきてからずっと、ピロウズの「白い夏と緑の自転車 赤い髪と黒いギター」。パラパラと本をめくっていて、 「考える」というのはつねに「何かについて考える」ということで、「何か」という対象を持たない考えはない。これはあたり前のこと…

今の自分がこうであることはすべて自分のせいだと思えば、たぶん世界は簡単にまわる

恵理子は完全にピッチャーとして球を投げていた。癖のついていない、きれいなフォームでのびのある速球を彼女は常にまっすぐに投げた。ほっそりした体の恵理子は、じつは確かな骨格と筋肉とを持っていることに、やがて洋介は気づいた。上体と腕の動きに、無…

『そして人生はつづく』

ひとつの「映画」などどこにもなく、そこにはただ様々な要素がそれぞれ互いに無関係なまま投げ出されているだけである、と岡崎は言っているのだ。にも関わらずそこにひとつの「映画」をみるとしたら、それはシンクロニシティという「妄想」によってでしかな…

旅日記が書けなくて

時間からはみ出した時間の経験のなかにしか絵画は存在しない。絵画は、時間を作品内部に構造化することが出来ないことによって、時間の外にある潜在的な塊として、まるで記憶そのものと同じようなあり方で存在することができる。 (古谷利裕『世界へと滲み出…

昨日と今日が続いているとしても

昨日からの続きで書こうとしていたことや、19日までの3日間に載せた6年前の自分の書いたことを読んで思ったことは、やっぱりすぐには書かないことにして、 「パフュームはもちろん好きでいちばん好きな曲は「コンピュータシティ」だけどアイドルテクノポップ…

友人のブログへのコメントの続きの代わりに/あるいは、人生を賭けた「ちんぽ踊り」

友人のブログへのコメントで、「20代なかばに見落としてしまったことは色々あって、『ブラウン・バニー』の面白さを友人に教えられるまで、『バッファロー66』で(?)と思ってからヴィンセント・ギャロをスルーしてた」と書いたのだが、『バッファロー〜』…

パート3:散文2

「プール」 「近くにプールがあります。市民プールです。近頃私はこのプールに通うことを日課にしております」 手紙は、何度も手紙をかわしあった親しいペンパルにむけて書かれたような、何気ない文章で始まっていた。 唐突すぎて、三年もゆくえをくらまして…

パート2:日記

昨日発掘した6年前の自分の文章、一日経って見直してみるとやっぱり暗いと思う。「20代は暗いものだ」ということを言う人がいてそれから僕も「そうかも」「そうだろう」と思うようになっていて(僕はその20代を「数字としては」最近越えた)、そうだとしても…

散文1

ひょんなことから昔自分がやっていたサイトのURLがわかったので、「WayBack Machine」で検索してみたら、少しだけだけどアーカイブされていた。(少なくとも自分には)面白いのでここに再掲してみる。 ■2002年6月に聴く15曲(2002/6/10) この4月、引越しに…

私家版・本棚探偵の冒険

トイレで読むのに本棚から適当に取ったのが『にっぽん野球の系譜学』(坂上康博著、青弓社)で、この本は出た当時に書評をきっかけに読んだ本なので奥付を確認すると2001年7月25日初版とあるから7年前に読んだことになるが例によって全く内容を覚えていない…

ターニー氏への返事の代わりに(ローファイで)

「Helpless」を観直してまず思ったのは意外と「あっさり観ていられた」ということ。何年か前の「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」を劇場で観たあと一晩中こめかみの辺りが痛くてつらかったので青山真治の映画は脳では好きでも身体が受け付けない、と思って最…

抜き書きと覚え書き

1. 「僕は楽天家で、温暖化も少子化も何とかなるかと思う。最終的にはみんなシャボン玉の中に入ってプカプカ浮いているような世界に。」という発言がよくて、やっぱりその人は信用できる、というか、もう少しそういうふうにその人を見てみよう、と思って忘れ…

日曜日は「○○だ」とみんなは言うけれど

8月3日(日) 1. 昨晩少し遅かったために起床時刻がそのまま後ろにシフトして11時半過ぎに起きて、起きたそこは妻の実家であって用意されるがままに昼食に素麺を食べ終わったのが12時半過ぎで、出かける予定の2時まで約1時間半でその日のうちに返さなければ…

壁新聞とその効用について

朝のシャワーと晩の風呂の際に壁に新聞を貼り付けて読むようになってしばらく経つのだが、(一部の面だが)新聞を熟読する習慣ができて、自分の関心外のことが入ってくることが心地よいと思うようになっている。 貼り付けて読んでいるのは文化欄とかスポーツ…

土曜日から今日まで、あるいは世界に向かって開かれている!

土曜日は「ルオーの<ミセレーレ>」展(和歌山県立近代美術館)でルオーの展覧会を観たのは2度目(*)で、改めて自分がルオーを好きなのがわかったのだが、そのこととは別にこの展覧会でいいと思ったのは、展示室の壁も汚れが目立つし本企画展には図録が発行…

町のどこに私が立ちどまっても

ある日の本棚 iPodのプレイリストとか、(読んでいる本も未読のものも含めて)自分の本棚とか、その並びとか、実に自分の「好み」が反映されていて、おそろしく「自分」だなあ、と思う。昔自分で編集したカセットテープを聴いていると「選曲から曲順から何か…

『私のいちばん…

昨日触れた『私のいちばん好きなアルバム』『私のいちばん好きな本』というのは「月刊カドカワ」に連載されて10年くらい前に角川mini文庫というのになった本で、どっちも1枚・1冊ずつ選ぶという無茶な企画。それで自分も1コずつ選んでみた。 本:高橋源一郎…

近況2件。

「好き」が高じて、素晴らしい呑んだくれ音楽団、「パタゴニアン・オーケストラ」のフリー・ペーパーを作った。A7版?(A4の半分の半分の半分)の小ささながら、インタビューありレビューありフォト・セッションありの8ページ。くわしくはバンドのサイトまで…