2017-01-01から1年間の記事一覧

ロバート・バドロー『ブルーに生まれついて』Born to Be Blue(2015)を観ました。

ジャズ・ミュージシャン、チェット・ベイカーをイーサン・ホークが演じた伝記映画。 私はこういう映画が作られたのを知ってから、改めて、というかほとんど初めてチェット・ベイカーの音楽を聴いてみたくらいで、この映画に描かれていることがどれくらい事実…

メアリー・ハロン『アメリカン・サイコ』American Psycho(2000)を観ました。

80年代後半のバブル経済のさなか。投資銀行の重役であって、いわゆるヤング・エグゼクティブの典型のような27歳の男(クリスチャン・ベール)が、夜な夜な快楽殺人を続けていく――。 映画に限らずフィクションの面白さは語り口で、この映画もあらすじを端的に…

マイケル・グランデージ『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』Genius(2016)を観ました。

F・スコット・フィッツジェラルド、アーネスト・ヘミングウェイを見い出し、世に送り出したとされる編集者、マックス・パーキンズと、同時代のもう一人の天才作家、トマス・ウルフとの交流を描いた作品。 伝記映画であって、事の成り行きは観客にとって、周…

トム・フーパー『リリーのすべて』The Danish Girl(2015)を観ました。

「世界で初めて男性→女性の性適合手術を受けた人物」の伝記映画。幸せな結婚生活から、画家の妻の絵のモデルのために女装を始めたことによって、自身の性への違和感に気づき、妻との愛とのあいだで懊悩する主人公の心の動き、揺らぎを過不足なく描いている。…

デビッド・ゼルナー『トレジャーハンター・クミコ』Kumiko, the Treasure Hunter(2014)を観ました。

コーエン兄弟の映画『ファーゴ』を本当に「実話」と思い込んで、映画のなかでスティーヴ・ブシェミが埋めていた大金を探しにいき、ノースダコタの荒野で凍死した日本人女性の話――この映画を一行で要約するとこうなる。 菊地凛子が演じるクミコの孤独な日常と…

ピーター・バーグ『バトルシップ』Battleship(2012)を観ました。

軍人の兄に無為な生活を説教される無職の青年。誕生日に兄と二人、バーで飲みながら、将来について発破をかけられるのに女をナンパすることしか考えていない。 一目惚れして声をかけたスタイル抜群の女性に、「チキンブリトー食べたいの」と言われれば、閉店…

ジェームズ・ポンソルト『人生はローリングストーン』The End of the Tour(2015)を観ました。

ポストモダンの旗手、と謳われた新進気鋭の作家に『ローリングストーン』誌の記者が密着する、というストーリーをきくと、『あの頃ペニー・レインと』みたいな、無軌道で破天荒なロード・ムービーを期待するけれど、アーティストといってもミュージシャンと…

本を読みながらアイロンをかけることはできない

今日は映画を観なかった。 やらなかったことを書くのも変だけど、最近は映画を観ない日はそういう感じがする。「映画を観なかった」という感じが。 このところは早く帰るようにしているので、ひとり食事を作って食べ洗濯機を回しつつシャワーを浴びて出てく…

2016年に観た映画ベスト10

わたしは今38歳ですが映画を観るようになったのはここ数年で、2016年は301本の映画を観ました。世のなかにはもっと観ている人もたくさんいるのでしょうが、個人的にはこんなに観たのははじめてで、せっかくなので2016年のベスト10を選んでみました。 とはい…

ヴィンセント・ギャロ『ブラウン・バニー』(2003)を観ました。

DVD(『バッファロー'66』との2in1)が出た頃に買って観て、たぶんそれ以来。 ヴィンセント・ギャロ自身が演じるバイク・レーサーがレースを終え、次のレース会場まで、車にバイクを積んで移動する。車窓、車窓、また車窓。道々で女を引っ掛けては、再びオン…