映画
80年代後半のバブル経済のさなか。投資銀行の重役であって、いわゆるヤング・エグゼクティブの典型のような27歳の男(クリスチャン・ベール)が、夜な夜な快楽殺人を続けていく――。 映画に限らずフィクションの面白さは語り口で、この映画もあらすじを端的に…
F・スコット・フィッツジェラルド、アーネスト・ヘミングウェイを見い出し、世に送り出したとされる編集者、マックス・パーキンズと、同時代のもう一人の天才作家、トマス・ウルフとの交流を描いた作品。 伝記映画であって、事の成り行きは観客にとって、周…
「世界で初めて男性→女性の性適合手術を受けた人物」の伝記映画。幸せな結婚生活から、画家の妻の絵のモデルのために女装を始めたことによって、自身の性への違和感に気づき、妻との愛とのあいだで懊悩する主人公の心の動き、揺らぎを過不足なく描いている。…
コーエン兄弟の映画『ファーゴ』を本当に「実話」と思い込んで、映画のなかでスティーヴ・ブシェミが埋めていた大金を探しにいき、ノースダコタの荒野で凍死した日本人女性の話――この映画を一行で要約するとこうなる。 菊地凛子が演じるクミコの孤独な日常と…
軍人の兄に無為な生活を説教される無職の青年。誕生日に兄と二人、バーで飲みながら、将来について発破をかけられるのに女をナンパすることしか考えていない。 一目惚れして声をかけたスタイル抜群の女性に、「チキンブリトー食べたいの」と言われれば、閉店…
ポストモダンの旗手、と謳われた新進気鋭の作家に『ローリングストーン』誌の記者が密着する、というストーリーをきくと、『あの頃ペニー・レインと』みたいな、無軌道で破天荒なロード・ムービーを期待するけれど、アーティストといってもミュージシャンと…
わたしは今38歳ですが映画を観るようになったのはここ数年で、2016年は301本の映画を観ました。世のなかにはもっと観ている人もたくさんいるのでしょうが、個人的にはこんなに観たのははじめてで、せっかくなので2016年のベスト10を選んでみました。 とはい…
DVD(『バッファロー'66』との2in1)が出た頃に買って観て、たぶんそれ以来。 ヴィンセント・ギャロ自身が演じるバイク・レーサーがレースを終え、次のレース会場まで、車にバイクを積んで移動する。車窓、車窓、また車窓。道々で女を引っ掛けては、再びオン…
ジェイソン・ベイトマン演じる主人公ジョエルは食品の香料を製造・販売する会社を経営している。子どもはいないが、結婚して美しい妻がいる(妻はクリステン・ウィグが演じている)。会社の経営は順調で、大手からの条件のいい買収話もあり、それが実現すれ…
誰からも好かれず、というより誰よりも嫌われていたらしい人物=FBI初代長官であり、半世紀に渡りその座にあって歴代の大統領さえも、彼らのスキャンダルを握ることによってコントロールしていたというJ・エドガー・フーバーの半生を描いた映画――というふう…
1997年のアメリカは犯罪増加率が400%を超えていて、だからマンハッタンを監獄島にして囚人をぶちこんで看守もおかず、閉じ込めておくことにしたんですよ――みたいな感じのことがさらっと字幕とナレーションで語られて映画が始まると、もうぜんぜんふつうの映…