ロバート・バドロー『ブルーに生まれついて』Born to Be Blue(2015)を観ました。

ジャズ・ミュージシャン、チェット・ベイカーをイーサン・ホークが演じた伝記映画。 私はこういう映画が作られたのを知ってから、改めて、というかほとんど初めてチェット・ベイカーの音楽を聴いてみたくらいで、この映画に描かれていることがどれくらい事実…

メアリー・ハロン『アメリカン・サイコ』American Psycho(2000)を観ました。

80年代後半のバブル経済のさなか。投資銀行の重役であって、いわゆるヤング・エグゼクティブの典型のような27歳の男(クリスチャン・ベール)が、夜な夜な快楽殺人を続けていく――。 映画に限らずフィクションの面白さは語り口で、この映画もあらすじを端的に…

マイケル・グランデージ『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』Genius(2016)を観ました。

F・スコット・フィッツジェラルド、アーネスト・ヘミングウェイを見い出し、世に送り出したとされる編集者、マックス・パーキンズと、同時代のもう一人の天才作家、トマス・ウルフとの交流を描いた作品。 伝記映画であって、事の成り行きは観客にとって、周…

トム・フーパー『リリーのすべて』The Danish Girl(2015)を観ました。

「世界で初めて男性→女性の性適合手術を受けた人物」の伝記映画。幸せな結婚生活から、画家の妻の絵のモデルのために女装を始めたことによって、自身の性への違和感に気づき、妻との愛とのあいだで懊悩する主人公の心の動き、揺らぎを過不足なく描いている。…

デビッド・ゼルナー『トレジャーハンター・クミコ』Kumiko, the Treasure Hunter(2014)を観ました。

コーエン兄弟の映画『ファーゴ』を本当に「実話」と思い込んで、映画のなかでスティーヴ・ブシェミが埋めていた大金を探しにいき、ノースダコタの荒野で凍死した日本人女性の話――この映画を一行で要約するとこうなる。 菊地凛子が演じるクミコの孤独な日常と…

ピーター・バーグ『バトルシップ』Battleship(2012)を観ました。

軍人の兄に無為な生活を説教される無職の青年。誕生日に兄と二人、バーで飲みながら、将来について発破をかけられるのに女をナンパすることしか考えていない。 一目惚れして声をかけたスタイル抜群の女性に、「チキンブリトー食べたいの」と言われれば、閉店…

ジェームズ・ポンソルト『人生はローリングストーン』The End of the Tour(2015)を観ました。

ポストモダンの旗手、と謳われた新進気鋭の作家に『ローリングストーン』誌の記者が密着する、というストーリーをきくと、『あの頃ペニー・レインと』みたいな、無軌道で破天荒なロード・ムービーを期待するけれど、アーティストといってもミュージシャンと…

本を読みながらアイロンをかけることはできない

今日は映画を観なかった。 やらなかったことを書くのも変だけど、最近は映画を観ない日はそういう感じがする。「映画を観なかった」という感じが。 このところは早く帰るようにしているので、ひとり食事を作って食べ洗濯機を回しつつシャワーを浴びて出てく…

2016年に観た映画ベスト10

わたしは今38歳ですが映画を観るようになったのはここ数年で、2016年は301本の映画を観ました。世のなかにはもっと観ている人もたくさんいるのでしょうが、個人的にはこんなに観たのははじめてで、せっかくなので2016年のベスト10を選んでみました。 とはい…

ヴィンセント・ギャロ『ブラウン・バニー』(2003)を観ました。

DVD(『バッファロー'66』との2in1)が出た頃に買って観て、たぶんそれ以来。 ヴィンセント・ギャロ自身が演じるバイク・レーサーがレースを終え、次のレース会場まで、車にバイクを積んで移動する。車窓、車窓、また車窓。道々で女を引っ掛けては、再びオン…

マイク・ジャッジ『シンディにおまかせ』Extract(2009)を観ました。

ジェイソン・ベイトマン演じる主人公ジョエルは食品の香料を製造・販売する会社を経営している。子どもはいないが、結婚して美しい妻がいる(妻はクリステン・ウィグが演じている)。会社の経営は順調で、大手からの条件のいい買収話もあり、それが実現すれ…

クリント・イーストウッド『J・エドガー』J. Edgar(2011)を観ました。

誰からも好かれず、というより誰よりも嫌われていたらしい人物=FBI初代長官であり、半世紀に渡りその座にあって歴代の大統領さえも、彼らのスキャンダルを握ることによってコントロールしていたというJ・エドガー・フーバーの半生を描いた映画――というふう…

ジョン・カーペンター『ニューヨーク1997』Escape from New York(1981)を観ました。

1997年のアメリカは犯罪増加率が400%を超えていて、だからマンハッタンを監獄島にして囚人をぶちこんで看守もおかず、閉じ込めておくことにしたんですよ――みたいな感じのことがさらっと字幕とナレーションで語られて映画が始まると、もうぜんぜんふつうの映…

音楽にはそういう力がある

ラジオで聴いたり人から聞いたりした話なんですけど、ある音楽家は「音楽は万能だから何でも表現できる」といってて、別のある音楽家は「好きな人に幸運しか起こらない魔法をかけられる音楽を作りたい」んだという。どちらも音楽なら本当にできるような気が…

長谷川町蔵・大和田俊之『文化系のためのヒップホップ入門』

最近読んだ本。アメリカのヒップホップの歴史をライターの長谷川町蔵さんと学者の大和田俊之さんが対談で概説。「ヒップホップは音楽ではない」「ヒップホップは『少年ジャンプ』である」「ヒップホップはプロレスである」「ヒップホップは『お笑い』である…

TBSラジオ「菊地成孔の粋な夜電波」2015.09.11放送回より聴き起こし

毎週末聴いている、このラジオ番組。先日8/28の放送で、「選曲請負人・菊地成孔が女の子のためにひと肌脱ぎます『菊地成孔のミュージックプレゼント!フォー・ウーマン・オンリー』」という特集があり、その後日譚として9/11の放送で菊地成孔さんが話されて…

音楽、街

シンガー、市川愛さんのライブを、9/11中洲ジャズブルーステージ、9/13福岡市のパブ「Habit」で見ました。心から楽しかった。 そしてライブのあと、検索していたら市川愛さんがフィッシュマンズの「いかれたBaby」をカヴァーしている(Monolog+Ai Ichikawa「…

こだま和文を読む

ここには、ひとつ前の日記に書いたようなことを書いていこうと、それを書いた9月6日には思ったのですが、次の日にはもうその気持ちは薄れていて、結局今まで通りです。9月5日に書いたようなことは、また書くかもしれませんが。 こだま和文『いつの日かダブト…

窓の外を見ると

わたしは今、朝七時頃起きて自分の朝食を作って食べ、そのあとストレッチ。午前中は小説を書き、昼食をわたしか家族の誰かが作ってそれを食べる。昼食後二時くらいまでは本を読んだりウクレレの練習をして、二時頃から三時頃にかけてコーヒーメーカーで家族…

朝はパン

1. ある男性のミュージシャンはステージに上がるとき、理性によって自分のリビドーを抑えてはならない。と語った。たとえば女性アーティストと共演する。現実で彼女と社交する際には、例えば彼女に対して性的な感情を持ったとしてもそれは抑えらえる。しかし…

大橋マキ『アロマの惑星』を読みました。

大橋マキ『アロマの惑星』(木楽舎、2005年)を読みました。 元アナウンサーで、アロマセラピストの著者によるアロマにまつわるエッセイ。軽めのエッセイだからといって、からっぽとかテキトーなものとはぜんぜん感じられず、真面目で誠実で、肩肘張らない、…

横尾忠則『名画 裸婦感応術』からの抜き書き(続き2)

横尾忠則『名画 裸婦感応術』(光文社 知恵の森文庫、2001)からの抜き書きを引き続き。これで終わり。 その絵は女性のポートレートだった。ぼくはしばらく立ち止まってその絵の女性と向き合っていた。ぼくはお酒は一滴も飲んでいなかったけれども、人いきれ…

『名画 裸婦感応術』からの抜き書き(続き1)

ピカソがあれほどまでに影響を受けたというアフリカやイベリア彫刻だが、彼が興味を持ったのはあくまでも彫刻の表層部分である。ここでぼくにはひとつの疑問と不満が生じるのである。 あれほどピカソがこれらの彫刻から強烈な霊感を得たのだったら、なぜ彫刻…

横尾忠則『名画 裸婦感応術』から抜き書きする/福岡市美術館『肉筆浮世絵の世界』展

昨日の日記に書いた借りた本からの抜き書き。 横尾忠則『名画 裸婦感応術』(光文社 知恵の森文庫、2001) この裸の女性はムーランといって当時19歳位である。「草上の昼食」の前年の作品「闘牛士姿のヴィクトリーヌ・ムーラン」で初めてマネのモデルになり…

佐藤伸治の新曲を聴いたこと/友人のこと/Do You Believe in Magic?

昨日、わたしは「今日は完全にオフ!」と決め込んで午睡をしていたら、夢のなかで1999年に亡くなったフィッシュマンズの佐藤伸治が新曲を披露してくれた。わたしは嬉しいのと心地いいのと、少し怖いみたいな気持ちで目が覚めた。 どんな曲、歌だったか今はも…

なんと「円い」月が出たよ窓

ふとしたきっかけで尾崎放哉の俳句を思い出していた。放哉の俳句は、覚えていて「持ち歩ける」感じが好きだ。俳人や歌人の方はご自身の作品や、好きな作品、影響を受けた作品をたくさん持ち歩いているのではないか。棋士の方なら、頭のなかにたくさんの棋譜…

たのしいことばかりありますように

朝から入念に、自分の身体をマッサージしながらシャワーを浴びて、ストレッチをした。それから、ユーカリとティートゥリーのエッセンシャルオイルをブレンドした化粧水とスプレーを身体に。朝食にはキュウリの浅漬けと生野菜(タマネギとゴーヤ、セロリ)を…

最相葉月『セラピスト』から引用する

結局今日は夜になりました。一ヶ月ほど前に読んだ、最相葉月さんの、精神医療、カウンセリングに携わる人々に取材したノンフィクション『セラピスト』にたくさん付箋をつけていたのを、読み返してみて、抜き書きしたくなったので、してみます。たくさんある…

メモ/痛みのゲートコントロール説、45分、頭のなかの風景画、ぶらぶらしてつぶやく

今朝の体重は63.5キロ。4月からは約10キロ、ちゃんと計りだした6月27日からでも、68.8キロから、5.3キロ減。食べていないのではなく、運動しています。 小説も朝書いていたし、日記も朝に書くことにします。 今日は自分のためのメモを書こう。 昨日の本から…

日記を書くこと、アロマのことなど

昨日の日記(フィクション)の感じでまた小説が書けると思ったけれど、とりあえず新人賞二つに応募したし、もう少し立ち止まって考えることにしました。次の締切まではまだ半年あるし。 しばらく普通の日記を書いてみようと思う。ただ今のわたしは、こういう…