土曜日から今日まで、あるいは世界に向かって開かれている!

 土曜日は「ルオーの<ミセレーレ>」展(和歌山県立近代美術館)でルオーの展覧会を観たのは2度目(*)で、改めて自分がルオーを好きなのがわかったのだが、そのこととは別にこの展覧会でいいと思ったのは、展示室の壁も汚れが目立つし本企画展には図録が発行されていないくらいでこの美術館には決して潤沢な予算があるわけではないのだろうがコピー紙に刷られた手づくりの出品目録が充実していることで、掲載されているのは目録の他、本展の概要と今回の目玉<ミセレーレ>の版元「アンブロワーズ・ヴォラール出版」の紹介とルオーの略年譜で、それらは全て展示室に掲示されているものと同じ文章だが、こうしたものをコピーででも無償で配布しているのは親切だと思った。
 「図録すらない」ことにはひょっとしたら美術館としては忸怩たる思いがあるのかも知れないが、バカ高い(版権や美術印刷ゆえのコスト等、理由はそれなりにあるのだろうが)図録を買わなければこういうものが読めない展覧会もたくさんあるわけで、予算がないならないなりに作品に親しんでもらうために労力を惜しまない、という姿勢が感じられる。
 帰りは前回この美術館に行ったときと同じルートでユニクロブックオフに寄り、そのときも買った玖保キリコ『いまどきのこども』の、別の巻を買う。日曜日は家でぼんやり過ごしたが暑さのせいかやはり本が読めなくて、(マンガなら)と思って近所のツタヤで五十嵐大介海獣の子供』1巻を買う。奇しくも(?)「こども」繋がりの2冊を月曜日の夜に汗をかきながら扇風機の風に当たりつつ読み、――『海獣の子供』はタイトル通り、『いまどきのこども』6巻の冒頭もタクミくん(のお兄さん)がハワイに行く話で――夏っぽさ全開、暑さはいや増す。

(*1度目は「ジョルジュ・ルオー 未完の旅路」松下電工NAISミュージアム、2003年)