チョールスの音色

世界のディテール、希望の感じ(Long Version)

「世間にあるほとんどのブログは、すぐに読まれるために書かれているけれど、彼の日記は、最初のひとりがいつ現れるかわからない、という状態で書き続けられていたんですよ」 その年の夏に行われた公開対談で作家は言った。それだけではっとしたのだけど、 …

世界のディテール、希望の感じ

「ほとんどのブログはすぐに読まれるために書かれるけれど、彼の日記は、最初の読者がいつ現れるかわからないまま、いつまでも現われないかもしれないという状態で書かれていたんです」 その年の夏に行われた公開対談で、作家は言った。 「それで、彼にその…

はじめて考えるときのように

その日のBGMは帰ってきてからずっと、ピロウズの「白い夏と緑の自転車 赤い髪と黒いギター」。パラパラと本をめくっていて、 「考える」というのはつねに「何かについて考える」ということで、「何か」という対象を持たない考えはない。これはあたり前のこと…

断章#2

「あてのない旅、あてのない旅」と心のなかで呟きながら、外へ出る。夕方に30分ほどうたたねをして、そのまま夕飯まで寝てしまってもよかったのだが、なんとなく散歩に行くことにして、だから義母にはその通り、「散歩してきます」と言い、2月初旬のこの時期…

断章#1

気がねなどするはずのない両親であっても、こういうことは言い出せないというか、言っても無駄だと思うのだろうか、車酔いをしていて一刻も早くどこかに駐車して休憩したいのだが、そのことが言い出せない。窓を開けるとさわやかな風の入ってくる秋晴れの昼…

#5

「ほら、あれ、ジョンビーだよ」 「ジョンビーって5人もいるんだ? ジョンビー、ジョン子、キッズジョンビーが3人。 ビール売りの女子の方がかわいいよね。ジュースのコはちょっとぶさい」 深夜の道を歩いていると、無意味な記憶が想起されて恋人と野球を…