孤独のなかにある個人こそ…

 このところかかりきりのことのため、日記が書けなくて、

小説家は、ひとびとや、かれらの営みから身をひきはなしてしまっている。孤独のなかにある個人こそ、小説の生れる産屋なのだ。かれは、自己の最大の関心事についてさえも、範例となりうるような発言をおこなうこともはや不可能であり、他人の助言を受け入れることも、また、他人に助言を与えることもできない。小説を書くとは、人間生活の描写のなかで、公約数になりえぬものを極限までおしすすめることにほかならない。
ヴァルター・ベンヤミン「小説の危機」(『ベンヤミン著作集7 文学の危機』晶文社、166-167ページ)

 これも、今ぱらぱらめくってかつてフセンをしていたところを開いてみただけ。