土曜の夜の前後

 土曜の夜のことはなぜかおぼろげで、うまく書けない。その日の昼は、「杉本博司 歴史の歴史」展を見に行ったら、美術館のそばにビーチバレーの大会会場が。思いもかけず、浅尾美和とすれ違った。そういえばさっき、「道空けて下さーい」と警備員が言ってたような。すれ違いざまに、「あれ? 浅尾美和?」という感じ。直前にこのブログにビーチバレーの報道にまつわることについて書いていたので、不思議なタイミングに驚く。「歴史の歴史」展は、杉本博司の豊饒なコレクションに圧倒される。化石、月の石、隕石、A級戦犯の裁判用写真、横浜写真、石器、仏像、能面、解剖図、楔形文字……。
 ライブ、ライブペインティング、DJ、VJ、サプライズ、いつまでも続くおしゃべり……な土曜の夜のあと、VJ♯氏宅にて就寝。朝は遅め。♯くんが豆から淹れてくれたコーヒーとともに、つれここ社中、サム・ムーア、久保田麻琴と夕焼け楽団などの、ぼくにとってはたぶんここでしか聴けない音楽を聴いて、朝は食べずに出かける。「朝昼兼用で、がっつり食べようぜ」。
 ♯くんに連れられて、彼の住まいの近辺、大阪は森ノ宮、玉造界隈を徘徊。目当てのカレーは食べられず、ごくふつうの中華料理店(その、ごくふつうの五目そばとチャーハンが、ごくふつうの味でごくふつうにうまい)、そのあと、♯くんがコーヒーにハマるきっかけになったという喫茶店で一服。「いっつもピアノジャズなんよ。その感じがええやろ」と彼。コーヒー、うまい。雰囲気も素晴らしい。♯くんはアイスとホット、二杯。出ると夕方で、世界が少し変わっていた。TRUCK FURNITURE AREA2をのぞく。ぼくは初めて。QUATTRO DESKとかいう机がいいなぁ、と思うが高い!
 ♯氏と別れ、ネットカフェで携帯を充電し、帰りの電車時間を確認、梅田の旭屋書店(ここは好きだ)で「ヴァージニア・ウルフ短編集」(ちくま文庫)。同店のフリペ「おすすめ本処 かわら版」がふるっている。すべて手書き。あっ!穂村弘だ。「整形前夜」。このタイポグラフィの表紙は、大竹伸朗かな?*1
 特急は使わず、ゆっくりウルフを読みながら帰る。ウルフ、すごくて感動する。
「ああ、ラピノヴァだわ」ロザリンドは小声で言った。
「そういう名前で呼ばれているのかい?」とアーネストは言った――「本当のロザリンドは」彼はロザリンドを見た。彼は自分がとても彼女を愛していると思った。



 

*1:違いました。