Dublin Confidential

 好きに読む読書なら、小説だろうがエッセイだろうが評論だろうがハマればずっと読んでいられるのだけど、仕事なんかの「勉強のため」「試験のため」だと途端に集中力が続かない……。今日は一時間ちょっとでギブアップ。音友Tはエライなぁ、と改めて。
 今日はけっきょく『ダブリナーズ』(新潮文庫)を買った。『ダブリナーズ』は20世紀文学の到達点のひとり、ジェイムズ・ジョイスの初期短編集。これまでは「ダブリン市民」とか「ダブリンの人びと」と訳されていたのだが、訳者の柳瀬尚紀さんは、今回の新訳にあたって、PrisianとかLondonerとかに対抗して「Dubliner」という造語をつくったジョイスに敬意を表して邦題を変えたそうです。
 「ダブリナーズ」という音の響きがいい。音楽的というか(ダブ?)。この本は新潮文庫の旧訳『ダブリン市民』も昔持っていたし、今手もとには別の訳の『ダブリンの市民』もあるのだけど、全然憶えていない(でも「死者たち」The Deadはすごくよかった記憶がある。『ダブリナーズ』では「死せるものたち」という邦題になっている)。
 目先の面白さに目が眩んで、ついついこういう名作は後回しになってしまうのだけれど、ほんとうにすごいものを知らないと「ほんとうのおもしろさ」を知ることができない。一度きりの人生だもの、そういうものを楽しみたい。どう多く見積もっても、たぶんもう三分の一は終わってるしな、人生。今回はじっくり、ダブリナーたちの人生を見つめてみよう。