Destination Unknown

 運命に逆らって、昨日の新古書店へふたたび行って、『“少女神”第9号』を105円で。そのあと新刊書店で『ダブリナーズ』を買う予定だったのだが、その前についでに新古書店の店内を廻っていたら、中井英夫『虚無への供物』上下巻を600円でみつけてしまう。新刊の『ダブリナーズ』とほぼ同額で、迷ったあげく購入。この本はかつて好きだった女の子が「鞄にずっと入れっぱなしになってる」と言っていた本で、だからというわけではないがずっと気になっていたものではあった。『“少女神”第9号』と同時に買うにはこちらのほうがうってつけかも、と。『ダブリナーズ』は別の訳の『ダブリンの市民』(福武文庫)が家にあるし。
 ぼくはふだん読む小説は「純文学」に分類されるものが多いが純文学しか読まないわけではなくて、というか「純文学」「エンタメ」「ミステリ」「SF」なんていうような「ジャンル小説」として読んでいるのではなくてただ「小説」として読んでいるので、「ジャンル小説」としてではなく、ただの「小説」として気になるもの、評判の聞こえてくるものならミステリも(ときどき)読む。まして「虚無への供物」は「推理小説史上の大傑作」であり、「小栗虫太郎黒死館殺人事件』、夢野久作ドグラ・マグラ 』とともに、日本探偵小説史上の三大奇書としても知られ」ているらしい。表紙の森山大道の写真も、鈴木成一の装丁も(『“少女神”第9号』も鈴木成一)いい。

新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫) 新装版 虚無への供物(下) (講談社文庫)

「少女神」第9号