太陽の光はほとんど垂直に砂の上に降りそそぎ、海面でのきらめきは堪えられぬほどだった。

 一日、友人二人とフリマ出店。ぼくは本を一冊100円で数十冊、あと洋服を少し。売上は1700円ほど。売れないのはまあいいが、たいしてものが減らなかったな。とはいえ始めからあまり期待してなくて、ぼくが気にしていたのはどんな人にどんな本が売れるかだけだった。個人的にいちばんおもしろく、嬉しかったのは次の客。30〜40代くらいの女性。ひとしきり眺めたあと、ねじめ正一高円寺純情商店街 本日開店』(新潮文庫)、スコスステーショナリーズカフェ『文房具と旅をしよう』(ブルースインターアクションズ)、柳瀬尚紀『辞書はジョイスフル』(新潮文庫)をご購入。並んでいる本を見て、彼女「変わったラインナップですね」。(ぼく「あなたのセレクトも、変わってますね」と心のなかで)。そのセレクトから、たぶんこの人は本好きだろう、と思う。同じ売るにしても、そういう人の手に渡るのはやっぱり嬉しい。
 で、フリマ後、残った本を新古書店で二束三文で(20冊程度で350円)。文庫一冊が一律10円とかで、昔売ったブックオフより随分安いな。それに数十円足して、写真の二冊、玖保キリコ シニカル・ヒステリー・アワー自選集『シンプルマインズ』(装丁・原田治!)、西島大介世界の終わりの魔法使いⅡ 恋におちた悪魔』を計405円で購入。今日の目に見える方の収穫。いい買い物。フランチェスカ・リア・ブロック“少女神”第9号』も105円で、気になったのだが。この本は出た当初から色々な評判やタイトル、本を手に取ったときの感じから、「たぶんいい本だろう」と確信しているのだが、買わずにもう9年になる。ヤングアダルトだし、どうしても読まなくちゃ、とは思わなくて……。今日もまた逃したから、やっぱり読まないのだろうか。
 あとはフリマ売上の使い道。出店料を差し引いて、残りで柳瀬尚紀翻訳のジョイス『ダブリナーズ』(新潮文庫)でも買おうかな。それが正しい使い方のような気がする。

ダブリナーズ (新潮文庫)

ダブリナーズ (新潮文庫)