ヤング・ジェネレーション(断片1)

 ウタさんが会いに来たのは十一月の初旬だった。朔の初めての七五三の一週間まえで、まだまだシャツ一枚でも暖かい陽気だった。ウタさんは夫から聞いて想像していたより大柄の美人で、ひいき目に見てももてる風情ではない夫がときどき連れてくる知り合いの女性、というのはなぜか美人が多い。多いといってもそもそも数人しかいないが。それについて感情的にどうとうか、あるいは批評的にみるというようなことをわたしがするわけではないけれど、わたしからすればよくも、ネット上のやりとりだけで親しくなり、お互いに顔をあわせたことがないような人たちが会ってみたりするものだ、というのが正直な感想で、夫のそういうことに積極的というか無防備のようなところというのは、なかなか見上げたところもあるものだと思う。
 夫婦というと時として、こんな「上から目線」で相手を見るようなことは自然なことで、それで自分を不遜だとは思わない。
 それで前日に半日かけてこの街にひとりでやってきたウタさんはとても誠実な人で
「初めまして、ウタです。急に来てしまって、せっかくの休みの家族の時間におじゃましてしまってすみません。」
 というあいさつの言葉じゃないところでわたしはそう感じた。