何も 浮かばなかったからって/何も してないわけでもなくて

 世のなかにはいい音楽がたくさんあって、わたしのように受け身で月に二回宅配レンタルで届けられるCDを聴いているだけでもそれに出合うことができる。
 昨日は仕事から帰ってきたらテーブルのうえに息子が握ったという「おにぎり」みたいな小さなカタマリが小皿に置いてあった。一時期の流行りだとはわかっていても今日もそれを期待してしまう。
 そんなものただの労働だ、と思っていてもうまくいかないと、価値のないような人間であると考えてしまうような小物でも、なんかいい時間の訪れることを祈って日々生きている。
 言い過ぎのようでもそういうことにすがってしがみついて過ごしていたいときもあって、届いた手紙に「何度も思い出して」みたいなことが書いてあっただけでうれしくて、わたしはわたしがあなたのことを思い浮かべているそのときに、あなたにわたしのことを思い出されているわけじゃないかもしれないけど、そんなときに他のだれかにわたしとのことを思い出されているかもしれない。
 そういうことを信じることができさえすれば明日もまた生きられるような気がするのはたしかで、こんなことは何度かこういうところに書いたような気もします。
 もうちょっとラク生きられたらいいのにね、と思わないでもないというかマイニチのように思いますが、こういう歌にときにしんみりできるくらいには、心のひだを保っていられればそれでいいのだ。

 誰でも 忘れられなくて/だけども いつも覚えてなくて


Evisbeats/いい時間