長い距離を旅して遠くまで。

 土曜日。午前中は職場へ行き仕事をして午後から「さっちゃんのお店」こと「...ti」へ。いつものように、夫婦は日替わりの「お昼ごはん」、二歳の息子は裏メニュー(?)のカレーライスのハーフ。気もちがふさいでいても、ここに来れば、ここにいる時間はほかのだれのものでもない、わたしたちのものになる。店主のさっちゃんはふわふわした話しぶりの気さくな人だけれど、ひとりでお店を切り盛りしているのだから本当はふわふわしているだけの人のはずはない。わたしたちは最近は時間があれば毎週のように行って、いつも心地よい時間を過ごしているけれど、がちゃがちゃした息子に翻弄されて、息子中心の会話になってしまうからか、わたしじしんはさっちゃんと、友だちのように話し込んだりすることは今までない。「さっちゃん」と面と向かっていうこともあまりない。「でも」でも「だから」でもなくて、ただただご飯がおいしくて、お店の雰囲気がよくて、何より店主の人がらが素敵で、わたしたちはここでご飯を食べたいと思う。
 そのあとで街の図書館がリニューアルして、「たなべる」という名前になった、その図書館に行った。「たなべる」に行った。新しい建物の匂いがする。今どきの外光を取り入れた明るく開放的な建物で、何でも新しくすることがいいことかどうかわからないけど、本も増えていて、そのことは嬉しい。息子もたくさん本棚から漁ってくる。わたしの借りたのは、
保坂和志『猫の散歩道』(中央公論新社
・北山耕平『雲のごとくリアルに 青雲編』(ブルース・インターアクションズ
海野和男写真・文『すごい虫の見つけ方』(草思社
・『くらげさん』(ピエ・ブックス
・ロバート・マッシュ著、新妻昭夫・山下恵子訳『新版 恐竜の飼い方教えます』(平凡社
 で、あとの三冊は子どもといっしょに見たいと思って。
 こういう日々をわたしたちは、わたしたちのために過ごすのだ。