十月はたそがれの月。

 他の用事で来た本屋でふらふらと「こどものとも」と「エンタクシー」の最新号を買う。「こどものとも」はコンドルズによる「ひともじえほん」。ひらがなすべてをコンドルズの人たちがモジモジくんふうにやっている。なにげにすごい。息子がまねしてくれたらいいなと思う。
 「エンタクシー」は惹かれるほどの特集はなくて巻頭対談が石原慎太郎西村賢太だったりする。一ミリも興味ないが、この人昨日タモリのテレビに出てたな。
 なのに買ってしまったのは、久しぶりに自分のために本を買いたかった。十月になり仕事のために心に少しも余裕がない。気分転換したかった。そういえば全然本を読んでないし買ってさえいなかった。3日間子どもと戯れて気分転換にはなるけど、自分の人生は本を読まなくなったら終わりだ。
 というかたぶん理由は坪内祐三が「長編随筆」に映画「マイ・バック・ページ」を取り上げている。書き出しをちら見するとどうも批判的なことを書きそうだ。わたしは山下敦弘監督の映画は面白く観たことはあってもつまらなかったり怒ったり呆れたりしたことはない。坪内さんの書くものも無学なわたしには高尚だとは思うけど、面白く読んできたから、なんだかとても気になってしまった。とりあえずその随筆は真っ先に読む。読む限りなるほどというしかない。映画は観てないけど、こういう部分でこういう人を納得させられなかったら映画としてはダメなんじゃないか。
 「マイ・バック・ページ」の設定やストーリー、原作(川本三郎の自伝的ノンフィクションらしい)を聞いたとき、それを監督したのが山下敦弘と聞いてなんだかピンと来なかったけど、これを読んでやっぱり、どうしてなんだろうと思った。調べることまではしない。今のところ、知ったこっちゃない。映画はそのうち観るかも。ホンマタカシの震災前後の日記の載ってるページも面白かった。





 日常に押し潰されずに、日常から離れて日常の生活から起こる機微にもっと眼を凝らさなきゃ、ダメだよなあ。生きる意味ってそういうことしかないし。ちょっと仕事がたいへんになるだけでこうなってしまう自分が情けない。フレフレ自分。(「フレフレ少女」最近観た。)