エッグ・オア・ティ?

 朝はどちらにせよわたしたちの時間だ。朝はわたしたちとともにある。
 光が左から差してくる。頭の左上から差している。彼女には右足に当たっている。朝だから、わたしたちは寝床に横になっていた。
 わたしたちはシックス・ナインをして、それでわたしたちの頭と足の位置があべこべになっていたのか? それも今となっては大きな問題とはいえなかった。たとえ図星だったとしてもそうだった。
 夜になると暗くなる。
 朝は明るい。晴れていれば明るい。台所で手を動かしながら、妻が訊く。
「Egg or tea?」
 少ししてわたしが、八割がた
「ティ。」
 と答える。妻が運んでくれるのはお茶漬けだ。答えが
「エッグ。」
 だったならもちろん、卵かけごはんということになる。
 朝はわたしたちの時間だ。
 それさえ明け渡せと言われるなら、わたしたちは断固、戦わなければならない。そのときには、革命と闘争の狼煙が上がる。
 わたしは鮭茶漬けを掻き込み、冷たい十薬茶を飲み干した。