ケークウォーク断章

 わたしが「ぱくぱく」と呼ぶ折り紙を作ってやると、息子はぱくぱくとはせずに、すぐに折り目を開いて鍋つかみ代わりの台ふきんのように使って、ブリキのごみ箱のふたを空ける。店主のさっちゃんさんが「盾みたい。」と言ったふただった。
 息子が折り紙のふきんを使って持つと、盾には見えなかった。
 「装備しておきますか?」
 テレビゲームで武器屋の店主はわたしたちユーザーに問う。戦士であり勇者であるが、旅人であるわたしたちが、街なかで鋼鉄の鎧をまとい、剣を差し、盾を構えて歩くのは滑稽な気がしたものだ。
さっちゃんさんといえば三菱自動車の「デリカ」という車種のことも、
 「スターウォーズに出てくるロボットみたい。」
と言っていた。人型で金色の「C3PO」ではないほうのロボットだ。さっちゃんさんもわたしも名前が出てこなくてわたしは、
 「あのでかい掃除機みたいな?」
 と言った。以来デリカはそのロボットにしか見えないが、ウェブで簡単に検索できそうな名前を調べようとは一度も思わなかった。「スターウォーズ」は子どものころにテレビで観たきりで、これからも観ることはない。ストーリーももうわからない。