「ここからさき三十マイルは道幅せまくカーヴ多し。」

 スピード違反でパクられていらい、時速60キロメートル以内で走っている。少しは、オーヴァーすることもあるが、努めてそうしている。べつにびびっているわけではないがなんだかばかばかしくなったのだ(パクられたことじたいはいまだに思い出すと歯がゆいが)。
 ゆっくり走ってみると、とても、気持ちがいい。通勤は片道40キロメートル弱で、一本の国道をただまっすぐ走り続けるだけでいい。だいたい45〜50分くらいで着く。片側一車線で、たまに追い越しレーン(譲りレーン)がある。その追い越しレーン(譲りレーン)ごとに後続車に道を譲るのだ。行きも、帰りも。これが、ちょっと慣れてくるととても気持ちがいいというか、ほっとするというか、気持ちに余裕が出るというか、なのです。後続車には迷惑かもしれないが、しかし法定速度は時速60キロメートルである。50キロメートルだったりもする。しかし世のなかではそんなスピードでは走っていない。よく考えなくても意味がわからない、わたしには。なぜそんなふうに決まっているのか。なぜだれも守らないのか。なぜそれを組織の都合に合わせて取り締まるのか。
 しかし自分がじっさいに、ゆっくり走ってみると、そんなことがほんとうに、どうでもよくなる。それが気持ちいい(罰金刑はものすごく、癪だけど)。このところのBGMはずっと、原田知世『eyja』です。なかでも「FINE」「黒い犬」がお気に入り。「ブレンディ」のCMは大好きだ。コーヒーもあれがいちばん好きだ(牛乳でほんとうに、溶けやすいから)。