宴のあと/読書の実況中継

  • 2009年07月26日12:27

 昨夜はパタゴアン・オーケストラ主催のライブイベント、Happy Go Lucky Vol.3*1。パタゴニとチャトル・カッツェ・ストリングスバンドのカフェライブと中川貴雄くんのライブペイント。ぼくはスタッフと、パタゴニの演奏をバックに、作品集「夜明けまで」より、小説「夜明けまで」の一部を自作朗読させていただきました。
 それで今朝は4時に寝たのに9時に起きるという休みの日のぼくとしては驚異的な早起きで、いまは昨日とは別の海辺の喫茶店で、アイスコーヒーと、磯崎憲一郎さんの「終の住処」。新芥川賞の本作ですが、買ってから一年くらいで最近になってやっと読んだ、デビュー作「肝心の子供」がべらぼうにおもしろかったので、楽しみ。
 夜更かしした次の日の日曜日に午前中から行動できるなんて、ぼくも大人になったもんだ。三十代、もう一皮、むけたいです。店のテレビから高校野球の地方予選の実況が聞こえる。それに被せて、常連客のおじさんとママの会話。世はすべてこともなし。
 さ、読も。

  • 同日13:16

 テレビは新婚さんいらっしゃいに変わったみたい。小説の内容とシンクロしてる?まあ内容は全然ちがうけど。新婚さん〜はたしかかなりきっちりした台本があると聞いたことがあるけど、新婚さんの棒読みぶりに、先日久しぶりにみた映画、小津の「秋刀魚の味」を思い浮かべました。

  • 同日14:02

 テレビは高校野球に戻りました。コーヒーのあと、二杯めはバナナジュース。エアコンは効きが甘く、少し暑い。でもそれくらいが長居する喫茶店にはちょうどいいです。バナナジュースもぬるい。今、46ページ。半分弱? このまま読んでしまうか、もう少しして出るか。
 球場でプロ野球が見たくなってきたな。夏休み、実家に帰る途中で広島にでも寄って、マツダスタジアムで見ようかな。そのとき、やってるなら。ズームズーム!

  • 同日14:42

 小説のなかの彼と妻と小さな娘は観覧車に乗っています。
 喫茶店にはお客さんが増えてきた。祖父母と来たらしい小さな女の子もいます。
 読んでいたら、ぼくは学生で、このあとすぐ、いきなり友達の女の子から電話がかかってきて、
「わたしもいまからそこに行っていい?」
 と言われるんじゃないかという気がしてきた。その子のことはぼくは好きなのだろう。具体的な像は浮かばない。
 いや、なんか都合良すぎるな。電話はやはり友人(男)からで、用があるからいまからここに来るという。何かと思うと彼はものすごい美人を連れてきて、要するに彼女を自慢したいのだった。
 こんなに具体的な想像をしてしまう小説(しかも、小説の内容とぜんぜん関係がない!)はいまのところ初めて。

  • 同日15:13

 最後の一文を読み終えて、鳥肌が立ちました。すごいなあ。なんかものすごく、うきうきします。そんなうきうきする話ではぜんぜんないけど、うきうきすることしか書いてないのだ!圧倒的。寿命まで、ぜったい生きたいと思いました。
 喫茶店高校野球が終わってテレビは消されて、有線かなにかの静かなピアノ曲。さあ、帰ろ。