人に言えない習慣、罪深い愉しみ。

 この日記やmixiなんかでは、読んだ本や聴いた音楽、観た映画・絵なんかの「レビュー」は書かないと決めていて、それは安易なひとことで済ませたくないし、「レビュー」という頭の使い方でそういうものに接したくないからだけど、代わりに、というよりも自分のメモ代わりに、欲しい本、これから読みたい本について書いてみようと思う。ほとんどは新聞やウェブでたまたまみつけたもの(順不同)。

 もっともっとたくさんあると思ったけど(読みたい本、というのは常にたくさんあるが、今回は、「たまたま見つけたもの」限定)、ちゃんとメモったり、新聞を切り抜いたりして取っていなかったので、とりあえずこれだけ。
 1.は野球雑誌での連載だったらしいから、版元の白夜書房の「野球小僧」だと思う(読んだことないけど)。ぼくが今まで、もっとも繰り返し読んだ本は、小・中・高と何十回も読んだ、伝説の名選手たちのバイオグラフィー『豪球列伝』『豪打列伝』(文春文庫)だから(『豪球列伝』は大人になって買い直して手許にある)、苅田久徳千葉茂金田正一杉下茂中西太稲尾和久といった名前には親しみ深く、それだけで魅力的だが、巻末の「解説的対話」というのが著者と大瀧詠一の対談だという! 大瀧詠一が、野球だけについて語ってるのだろうか。素晴らしく贅沢な一冊。ぼくの人生の目標は、緒川たまきと「ぼくについて」の話題で対談すること、と別のところに書いたけれど、緒川たまきに「野球の素晴らしさ」を話す、というのもいいかも(何様)。どちらにしても実現したその場で卒倒すると思うけど。
 2.は、新聞2紙で、小野正嗣江國香織の書評を読んで、心に留まったのだけど、書評の内容は忘れた。「時のかさなり」というタイトル、四世代に渡って子供を語り手に据えた小説、それだけで十分に、読みたいと思う。
 3.は萩原朔太郎の孫(映像作家)が、母親、つまり萩原朔太郎の娘の萩原葉子(小説家)について書いた本。なんて書くと彼らの作品に親しいと思われるかもしれないけど、朔太郎でさえ全然知らない。手許にある唯一の萩原関連のアイテムは、古川日出男による「悲しい月夜」「自然の背後に隠れている」「我の持たざるものは一切なり」の朗読CD(雑誌「新潮」2008.1付録「詩聖/詩声 日本近現代名詩選」)のみ。でもこの朗読が、フィッシュマンズの「ゆらめきIN THE AIR」のVirsionと合わせると、すごくいいのだ。だからというわけじゃないけど、「業」の深そうな萩原家三代記が興味深い。
 4.は、たまたまみつけてたまに見ている個人のブログで、くらもちふさこの新刊が出ていることを知って、ずっと読みたかったのだがなかなか見つけられなくて、先日やっと見つけた、と思ったら2巻しかなくて、仕方なく「禁じ手」と思いながら2巻から読み始めたマンガ。2巻からでも面白いので、最初から読みたい。小説は途中から読んだことないけど、「妹」は最初からでうまくいかなったら、よさそうなところから読むといい、って言ってたので、小説でもやってみようか、と最近思っている。
 5.片岡義男は以前から好きで折にふれて読んでいる。小説も本当に独特でいいけれど、エッセイ・評論は「眼のつけどころ」が他の著者と全然違っていて、すごいと思う。「スパゲティ・ナポリタン」を通して言葉と物、記憶とディテールを語っているらしい本書。そんなこと、今まで誰がやっただろう!
 6.はずっと前に手帳にメモしていたもの。タイトルだけしか書いていなかったので、どんな本なのかもまったく忘れていた。でも、このタイトル! 「少女が知ってはいけないこと、少女が知ってはいけないこと……」。何度書いても(口に出しても)、そそられる。Amazonに載っていた商品説明によると、「エデン神話から『美女と野獣』へ、女性が「心」を持つことを許されるまで。エヴァが禁断の果実を口にしてから、女性の「心」は封印されてしまった。その封印が解かれるまでの長い道のりを辿る。」という物語論らしくて、やっぱり読みたいと思う。