ユメ十夜 #1
昨日だったかおとといだったかに見た、印象的な夢のなかでは、ぼくは今まさに死ぬ直前であり、迫りくる死を、避けられないものとして予感していた。けれど死ぬ直前、あるいはその瞬間まで痛みや苦しみはまったくない。死ぬ、ということだけがわかっている、という認識・状態であり、ぼくは親しい友人たちか家族かと親密な空気で会話をしていたのだ。
そしてその瞬間はやってくる。
言いようのない胸の苦しみ。
呼吸困難。
それを感じたと思った瞬間、ぼくは死んでいた。
そう、「死んだ」のではなく、「死んでいた」。
迎えたはずの「死」のあとも、ぼくはさっきまでと同じように、友人たちか家族と親しげにおしゃべりし続けていたのだ。けれど、避けようのない、不可逆的な死を迎えたことも知っている。今こうしてさっきまでと同じようにしゃべり続けているけれど、ぼくはもう死んだのだから、このままではいられない、ということを知っている。漸次、ぼくの言葉は相手に通じなくなる。聞こえなくなる。苦しくても、助けを訴えることはできない。そして、相手の前から姿を消す。相手も、ぼくの死を悟り始める。死んだことよりも、そのことが辛く、切ない。
そこで目が覚めた。いつもより5分だけ長く、布団のなかでうだうだすれば、それでよかった。