再確認・新発見

 繰り返し読むというのは本当に大事みたいで、町田康の長い長編『告白』を読み終わった後、保坂和志の小説『残響』と、駒沢敏器によるアメリカン・ミュージックのルーツを探る紀行文『ミシシッピは月まで狂っている』を読み返しているのだが、本当に面白い。この面白さを<忘れていた>ことがもったいなくて、もう一度味わえたことが嬉しくて、一度目(『残響』は何度目かだが)には気がつかなかった面白さが面白くてそれもまた楽しい。ハワイやアパラチアやアイルランドの音楽が聴きたくなってその場所にも行きたくなるし、しつこくしつこく考える<濃い>文章が書きたくなる。それらを全て実行することは難しいが、可能性と妄想を広げることは楽しくて、こういうときは人間でよかった、と思う。『告白』は途中から必要以上に「ノッて」しまって、いそいそと読んでしまったので、またいつかじっくり読み返さなくちゃ、と思う。