PLAYING THE ENEMY

 モヤネの指導のもと、集まったピート・レティーフの末裔は二度にわたり声を張りあげ、ズールー語の歌を歌った。「いろいろな思いが渦を巻いていた」とモヤネは言う。「一九七六年当時のできごとや、刑務所に送られた友人や知人の顔が浮かんできました。みな目のまえの白人ではないにしても、それに近い人間にひどい仕打ちを受けたり、殺されたりしたんです。でも、こうも考えました。この人たちは精一杯意思表示している、緑のジャージを残してもらったことに報いようとしているんだ、って。あの歌は町なかやサッカー場で黒人が歌う歌、移民労働者の歌、囚人の歌でした。あの歌に教わりました。垣根は越えられる、人は変われるんです。」
(ジョン・カーリン著、八坂ありさ訳『インビクタス 負けざる者たち』NHK出版、268頁)

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