びんぼう自慢。

 昨日ゴーゴリの『外套』に触れてなかったんだけどこれがめちゃくちゃ面白いんだって。というか、なにが面白いのかぜんぜんわからないんだよ。要するに貧乏木っ端役人が外套(コート)を新調するんだけどすぐにひったくりに遭って、警察に駆け込んでも取り入ってもらえず、ショックで寝込んで風邪こじらせて死ぬ、っていう話で、なにが「要するに」かわからないよ。しかもそのあとそのおっさん、幽霊になって夜な夜な人のコートをひったくる、という。
 地の文というか話者にちゃんと、「この小説の書き手」という人格があって、そういうのが19世紀の小説、という感じなんだけど、だからなおさらこの小役人のばか話がわざわざ語られるのかわかんないわけ。しかしそれが「近代ロシア文学の先駆け」であり、芥川龍之介もぱくったんだ。「怒髪天」に「労働Calling」という曲があって、ザ・クラッシュの「ロンドン・コーリング」に「先にぱくられた。」だそうだよ。