あるこう。

 わたしの息子がもうすぐ10ヶ月。息子はどうもがちゃがちゃして「しにくい子」の部類に入るらしい。人は、方言みたいなものだと思うけど、大人しくて扱いやすい子のことを、「しやすい子やなあ。」とかいうみたいでそういうことも知らなかったけど、息子はすごくがちゃがちゃして、肌は弱くて毎朝毎晩全身に皮膚の薬を塗りたくられているし(とても嫌がる)、寝つけなくてたぶんかゆいのだろう、あたまをかきむしるさまをわたしはかわいそうでかわいくてしかたがない。息子がでもこちらの体調が優れないとき(寝不足とか、ちょっとしたことも含めて)にがちゃがちゃされたり泣かれたりするとわたしはいらいらしてしまってぞんざいに扱ってしまうこともままあって、そのたびに反省もすれば妻に怒られもする。人のなかには、こどもが完全に第一で自分のしたいことを犠牲にしている親のことを情けなく思ったりどこかでバカにしたり見下している人がいるが(意識していなくても)、許せない。わたしはそういうふうにはできないにしても、そういう奴はほんと許せない。わたしはある意味かわいそうだとも思う。そんなの、こどもに限った話じゃないじゃない。わたしの自分の人生において、自分のことよりも優先すべきことがある。わたしはぜんぜんできてないけど。わたしがそう思うだけでも自分のための時間のすきまはどんどん埋まっていって、しかしそこで自分のやりたいことをやることでこどもにとって誇らしい親になれるのかもしれないと思う。
 しかしそうはいっても何が起こるかわからないから、そういう事態になるまえにわたしや息子や妻が亡くなる可能性というのはいつもどこかで考えてしまう。わたしはほんとうはこうして言葉にすらするべきじゃないかもしれない。わたしは、考えたことを文字にすることはほんとうに慎重にしんちょうに、でもときにはだいたんに。今日の戒め。「考えたことを文字にすることはほんとうに慎重にしんちょうに、でもときにはだいたんに。」